共有物分割請求は誰を相手に起こせばよいですか
共有物分割請求を行うとき、相手にするのは自分と意見の合わない他の共有持分権者です。
回答者:弁護士 大澤 一郎
共有物分割請求には話合いで分割をする場合と訴訟によって分割する場合があるので、以下ではそれぞれのケースについてご説明します。
共有物分割請求の方法
共有物の持分を持っているときにはいつでも共有物分割請求ができますが、そのためには、持分権者全員の意見が合致しないといけません。
共有物を分割したいときには、すべての共有持分権者が分割することに合意し、なおかつ分割方法にも合意する必要があります。
そこで、共有物分割請求をするときには、まずは他の持分権者と話し合いをして、不動産の分割方法を合意しないといけません。
このように話合いによって共有物分割の合意ができれば良いですが、それができない場合には共有物分割訴訟などの裁判手続きを利用する必要があります。
それぞれの場合で、誰を相手にすべきか見てみましょう。
話合いで分割する場合
共有不動産を他の共有持分権者との話合いによって分割する場合、その話合いの相手は他の共有持分権者全員です。
共有物は、持分権者全員が合意しないと分割できないからです。たとえ持分が小さい共有者がいたとしても、その人を外して共有物を分割することはできません。
ただ、自分と意見が同じ人については争いが発生することがないでしょうから、主に交渉の相手になるのは、分割に反対している持分権者や分割方法について意見が合わない持分権者となります。
訴訟で分割する場合
訴訟で共有物分割請求をする場合には、共有持分権者全員を当事者にする必要があります。全員に対して判決の効力が及ばないと共有物を分割することができないからです。
そして、訴訟には原告と被告があります。
原告とは訴訟を申し立てた人で、被告とは訴えられた人です。そこで訴訟の相手は「被告」だということになります。
自分以外の共有持分権者全員が共有物分割に反対していたり、自分と意見が合わなかったりする場合には、自分以外の共有持分権者を全員被告にして、訴訟の相手にする必要があります。
これに対し、共有物の分割とその方法について自分と意見が合致している他の共有持分権者がいる場合には、その人と一緒に原告となって、意見の合わない他の共有持分権者を被告とすることができます。この場合、意見が合わない共有持分権者のみが訴訟の相手になります。
つまり、訴訟の場では、原告であろうと被告であろうと、どちらかに共有持分権者が全員含まれていればそれで良いので、あとは自分と意見が合うか合わないかによって相手にするか共同原告になるのかが変わってきます。