持分割合2分の1ずつのテナントビルについて、共有物分割請求によって、適正価格で持分を売却することに成功した事例
事例
ご相談者様は、ご両親からの相続によって、テナントビルについてご兄弟で各2分の1ずつの割合で共有持分を取得されました。
しかし、テナントビルのことでトラブルになることも多く、ご相談者様は相手方からテナントビルの賃料について持分相当額を支払ってもらっていない、テナントビルを事実上管理しているのは相手方なので、持分に応じた賃料相当額を支払ってもらうのと同時に、自分の持分を相手方に売却したいというご意向でした。
ご相談者様は、相手方にその旨を伝えて話し合いの場を設けたそうですが、全く話し合いにならなかったということで、当事務所にご相談に来られました。
- 解決までの道筋
- 賃料について持分相当額の請求(不当利得返還請求)及び持分の売却交渉(共有物分割請求)の件で、ご依頼をいただき、相手方と交渉をしました。
しかし、相手方と交渉することは難しい状況でしたので、裁判で、不当利得返還請求と共有物分割請求を行いました。
相手方の意向としては、当方の持分は買い取りたいという意向でしたが、不動産の評価額の点で争いとなりました。
また、不当利得返還請求については、経費をどこまで含めるのかについて争いになりました。
裁判所で、双方主張立証を尽くしたうえで、ご依頼者様が満足いく水準で、相手方にご依頼者様の持分を売却することができ、また、持分に応じた賃料相当額も受領することができました。
解決のポイント
1 持分相当の賃料の問題と持分売却の問題を同時に解決する
テナントビルの共有状態の問題では、持分に応じた賃料が支払われていないという問題と持分を売却したいという問題がセットになっていることが多いです。
このようなケースでは、裁判で両方の問題を扱うことも可能です。本事案では、この2つの問題を同時に扱い、無事に解決することができました。
2 分割方法についての調整
共有状態の解消の方法は色々あります。現物を分ける、売却して金銭の形で分ける、一方が取得して他方に持分相当の金銭を支払うなどです。
今回は、相手方の意向として、テナントビルを取得したいという意向があり、ご依頼者様はテナントビルの持分を売却したいという意向だったので、相手方がご
依頼者様の持分を買い取るという方法で共有状態の解消に成功しました。
3 共有状態の解消をご希望の場合は、共有トラブルに詳しい弁護士にご相談ください
共有状態の問題は、共有者間の分割方法についての意向の調整、金額の調整、また、相続によって共有状態になっている場合は相続の問題に近い話が出てくる、共有者間で分割方法の意向が分かれている場合は分割方法の合理性など難しい話になります。そういう意味では、専門的な分野です。共有状態の解消の問題は、不動産の共有トラブルに詳しい弁護士にご相談いただくことをおすすめいたします。
※本事案は当事務所でお取り扱いした事案ですが、関係者のプライバシー保護等に配慮し、事案の趣旨を損なわない範囲で事実関係を一部変更している箇所がございますのでご了承下さい。