未払賃料の全額回収を行い、建物の明渡しも実現した事例
事例
相続によって不動産のオーナーになられたご依頼者様は、不動産の賃貸トラブルでご相談に来られました。具体的には、借主が長年賃料の滞納をしていること、借主と連絡がつかず、どのように動けばいいのか分からないということでした。ご依頼者様は、借主に退去してもらったうえで、不動産を売却したいというご意向でしたので、賃料の回収及び建物の明渡しについてご依頼を受けました。
- 解決までの道筋
- まずは、借主とその連帯保証人に内容証明郵便を送付して、未払賃料の請求及び契約解除の意向を伝えました。郵便を送ってから3週間程度経って、借主の連帯保証人の方から電話で連絡がありました。電話での交渉の結果、連帯保証人の方に未払賃料全額を支払ってもらうことになりました。しかし、借主とは連絡がとれなかったことから、建物明渡訴訟を提起して、建物明渡の判決を得たうえで、強制執行を行って建物の明渡しを実現しました。
解決のポイント
1 未払賃料の点について
借主が長年賃料の未払いをしている事例では、借主に未払賃料の請求を行っても、支払ってもらえないことが多いです。そのため、借主のみならず、連帯保証人の方にも速やかに未払賃料の請求を行うことがポイントです。
本件では、連帯保証人の方が不本意ながら、弁護士の説明に納得して、未払賃料全額を支払ってくれました。そのため、ご依頼者様の満足度はかなり高かったです。
2 建物明渡の点について
長年賃料の滞納がある事例では、任意交渉の段階で借主と連絡が取れないことも多いです。そのような場合は、長々と任意交渉を続けても時間が経過するだけなので、なるべく速やかに建物明渡訴訟を提起することが重要です。
本件では、任意交渉段階では借主とは連絡がとれず、訴訟段階で初めて被告として出席して話をすることができました。しかし、任意に退去していただくことはできなかったので、建物明渡の判決を得て、強制執行で退去してもらうことになりました。
3 全体を振り返って
未払賃料を全額回収できた点はよかったですが、借主の方に任意退去してもらえなかったのは残念でした。建物明渡の判決を得た後も、借主の方には任意に退去していただくように何度も説得しましたが、本件の事例では、退去してもらえませんでした。そのため、やむを得ず強制執行によって、強制的に退去してもらいました。
明渡交渉は、状況に応じて柔軟な対応を取らないと長期化するおそれがあります。早い段階で弁護士が介入していれば、早期解決できたと思われる案件もあります。また土地建物のことで悩んでいる方がいればぜひ一度ご相談していただければと思います。
※本事案は当事務所でお取り扱いした事案ですが、関係者のプライバシー保護等に配慮し、事案の趣旨を損なわない範囲で事実関係を一部変更している箇所がございますのでご了承下さい。