電話や対面でのコミュニケーションが取れない相手に対し、明渡しを実現した事例
事例
ご依頼者は、戸建ての建物をオーナーでした。ご依頼者はその建物を賃貸していましたが、その賃借人は家賃を10か月分以上滞納していました。
賃借人がその建物に住んでいることは間違いないのですが、ご依頼者がその建物を訪問しても、居留守を使われたりして、会うことができませんでした。また賃借人の電話番号は賃貸借契約締結時と異なっており、ご依頼者からは連絡もできない状況でした。
ご依頼者は困り果てて、よつば総合法律事務所へ建物明渡及び未払家賃回収をご依頼しました。
- 解決までの道筋
- 受任後直ちに建物明渡し及び未払家賃の支払いを求める内容証明郵便を送ったのですが、賃借人はその内容証明郵便を受取拒否しました。
そのため、同内容の文書を普通郵便(特定記録付き)にて郵送しました。
しかし、一向に賃借人から連絡はなく、建物から出ていかないため、訴訟を提起しました。
賃借人は裁判所に出廷せず、未払家賃の支払請求や建物明渡請求を認める判決がでました。
それでも、賃借人は建物を明け渡しませんでした。
ご依頼者と相談し、未払家賃分を免除する代わりに、建物を明け渡す合意書を郵送することにしました。
この合意書に対しては、賃借人は署名捺印をし、当事務所へ返送してくれました。
その合意書に従って、賃借人は建物を明け渡しました。
受任から解決まで5か月ほど要しました。
解決のポイント
勝訴判決を得たとしても、賃借人が任意で建物を明け渡さない場合、強制執行手続きが必要となります。そして、その強制執行費用は、申し立てる側(ご依頼者)が立て替えるので、事実上ご依頼者が負担することになってしまいます。
今回は戸建ての建物だったため、荷物も多く強制執行費用だけでも50万円以上はかかるような案件でした。
賃借人は簡単に未払家賃や強制執行費用を支払えるような状態ではなかったので、未払家賃を免除する代わりに任意での明渡しに協力する合意書を作成しました。
賃借人としても、未払家賃が免除されることはメリットがあったため、合意書に署名捺印してくれたのだと思います。
結果的に強制執行手続きを利用するより早く建物明渡を実現することができました。
未払家賃については、全額回収できることは多くはありません。早期の建物明渡の実現のために、事案によっては未払家賃の減額あるいは免除を検討せざるをえない場合もあります。
早期の建物明渡の実現は、新規賃借人との賃貸借契約の締結等の損失拡大を防止できるので、事案に応じて柔軟な対応が必要となります。
※本事案は当事務所でお取り扱いした事案ですが、関係者のプライバシー保護等に配慮し、事案の趣旨を損なわない範囲で事実関係を一部変更している箇所がございますのでご了承下さい。