自殺や孤独死等があった不動産において、売買や賃貸の際にどのような影響があるのかについて判例等を分析してセミナーを行っている事例
事例
不動産物件で、事故(他殺、自殺、焼死、孤独死、自然死等)があった場合に、売主や買主に告知義務があるのかどうか。告知義務を負うとして、いつまでその義務を負うのか。重要事項説明書や契約書には記載すべきかどうか、記載すべきであればどのように記載すべきか等について事例に基づき解説を行いました。
- 解決までの道筋
- 結論は、事案によって、それぞれ異なるかと思います。具体的な場面では、法律の解釈や、過去の判例等を分析した上で、当該各事案の個別事情をよく把握した上で、適切な対応・判断をすべきと考えられます。
解決のポイント
現在日本では、高齢化社会やストレス社会と言われ、不動産で孤独死したり、自然死するだけでなく、自殺等も相当数で発生しています。たとえば、ある不動産において、前の入居者がその不動産内で、直近に孤独死や自然死をしていたり自殺をされていたような場合、その不動産を新たに買ったり、賃借して住み始めたりする際に、その方々は精神的な抵抗感をもたれるでしょうか。もちろん人それぞれかと思いますが、人によっては、その事実を知らずに買ったり、賃借したりして住み始めた後にその事実を知った場合に、精神的な抵抗感等を感じ、売主や貸主とトラブルになる可能性もあるかと思います。
実際に、過去の裁判では、相当数がそのような事例で争われています。不動産業を営まれる方にとっては、これからの高齢化社会や現在のストレス社会において不動産は扱われる以上は、少なくとも一度はこのような場面に立ち会われることがあるのではないかと思います。その際に、適切な対応をするためにも、是非知識として知って頂きたい内容を中心に解説させて頂きました。ただし、注意点としまして法律上は、絶対このようにすれば大丈夫という基準が不明確なことが多いです。また、時代によって、一般常識等もかわってきます。そのためもちろん法理論は大事ですが、具体的な場面に遭遇したときに、過去の判例等を参照しつつも、最終的にはある程度のリスクをもってご判断頂く機会も多いのではないかと思います。例えば、売買であれば、売主側のご希望する内容と、買主側が潜在的に希望されている内容については、場合によっては、齟齬が生じる場合があります。そのような場合も、買主側と売主側のバランスをとりながら、事案に応じて適切な判断をしていくことが最も重要ではないかと感じます。そのような大事な判断をする際の一助にこのセミナーがなれば幸いです。
※本事案は当事務所でお取り扱いした事案ですが、関係者のプライバシー保護等に配慮し、事案の趣旨を損なわない範囲で事実関係を一部変更している箇所がございますのでご了承下さい。